著名な方が大腸がんを公表されたり、大腸がんで亡くなられたというニュースを見て、
「自分は大丈夫だろうか」と不安に感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は大腸がんは、決して珍しいがんではありません。
男女を合わせると、日本で最も多く診断されているがんは実は大腸がんです。
厚生労働省の「全国がん登録」によると、2023年に新たに大腸がんと診断された方は
15万4,039人。男女を合わせたがんの罹患数では第1位となっています。
つまり、大腸がんは誰にとっても決して他人事ではない病気なのです。
私は消化器内科医として、日々多くの大腸内視鏡検査を行っています。
その中で皆さんにお伝えしたいのは、
「大腸がんは、早く見つけることがとても大切ながんです」
ということです。
大腸がんは、早期に発見できれば内視鏡で治療することができ、内視鏡治療だけで完治が期待できることがほとんどだからです。
またポリープの段階から切除すれば大腸がんを予防できる可能性が高まります。
そして実際に大腸内視鏡検査をしていると、特に症状がなかった方から、
大腸ポリープや早期の大腸がんが見つかることもあります。
「血便が出たら検査を受ければいい」
「お腹が痛くなったら病院に行けばいい」
そう考えている方も多いかもしれません。
しかし、早期の大腸がんでは、自覚症状がないことがほとんどです。
だからこそ、
症状が出てからではなく、症状のない段階で見つけることが大切です。
日本では多くの自治体で40歳以上の方を対象に、年1回の便潜血検査による大腸がん検診が行われています。
便潜血検査で陽性になった場合には、
「痔だろう」「もう一度便潜血検査をすればいい」と自己判断せず、
大腸内視鏡による精密検査を受けてください。
大腸内視鏡検査には、もう一つ大きな役割があります。
それは、
将来がんになる可能性のある大腸ポリープ(腺腫、鋸歯状ポリープ)を見つけ、切除することです。
つまり大腸内視鏡は、大腸がんを早期発見するだけでなく、
将来の大腸がんを予防することにもつながる検査なのです。
私たちが日々、一つひとつのポリープを丁寧に見つけて切除しているのも、そのためです。
大腸がんのニュースを見ると、不安になると思います。
でも、その不安を「怖い」で終わらせないでほしいと思っています。
「そういえば今年、便潜血検査を受けていなかった」
「便潜血陽性と言われたけれど、そのままにしていた」
「一度も大腸内視鏡検査を受けたことがない」
「家族に大腸がんになった人がいる」
もし一つでも思い当たることがあれば、
ご自身の大腸について考えるきっかけにしてください。
「症状がないから検査をしない」のではなく、
「症状がないうちに見つける」。
大腸がんは、日本で最も多く診断されているがんです。
だからこそ、ニュースをきっかけに、
ご自身だけでなく、大切なご家族の健康についても
一度考えていただけたらと思います。