便潜血検査は、便の中に血液が混じっているかどうかを調べる検査です。この検査は、ごく少量の出血でも検出することが可能です ので、肉眼では分からないほど少量の場合でも、血液の有無を調べることができます。 便潜血検査には検体の処理方法の違いによって、「化学法」と「免疫法」があります。
化学法は、肉や野菜、服用している薬剤などに含まれる成分にも反応してしまうため、検査3日前から食事やお薬の制限が必要になります。一方、免疫法ではヒトのヘモグロビンを使うため、食事制限は無いうえに効果は化学法同等以上といわれていて、優れた方法です。日本では、検査前の制限が不要で、感度が化学法同等以上とされる免疫法が広く行われています。
便潜血陽性と言われたら
便潜血陽性とは大腸などの消化管からの血液が便に混じっている状態のことです。血便などの自覚症状が無かったとしても、出血がわずかでもあれば、陽性となります。便潜血陽性の原因として考えられる病気の1つが、大腸がんです。初期の大腸がんには自覚症状が乏しいため、自覚のない出血について調べることができる便潜血検査は、大腸がんのスクリーニング検査として非常に有用です。便潜血検診によって大腸がんによる死亡を60~80%減らすことができる ことが分かっています。そのため便潜血陽性と診断された場合は、放置せず内視鏡検査ができる医療機関を受診してください。大腸がん以外の病気としては、潰瘍性大腸炎、クローン病、アメーバ赤痢や腸結核等の感染性大腸炎 、消化管のポリープ、痔 などが挙げられます。いずれの場合も、自覚症状が無いままで便潜血が陽性となっていることがあります。
便潜血陰性でも
たまに血便がある、便通異常(便秘や下痢が続く)、貧血、腹痛、体重減少や腹部腫瘤などでおなかの不調がある方は消化器内科を受診し大腸内視鏡(大腸カメラ)を一度受けてください。
便潜血のメリット
大腸がんによる死亡を減らすことが分かっている。
便を提出するだけの簡単な検査であるため気軽に検査を受けやすい。
費用は比較的安価で体に負担がかからない。
便潜血のデメリット
大腸癌かどうかを含めて病気を特定することができない。
痔などがあると毎回陽性とでてしまう。
便秘の人は続けて二日間排便することが難しい