大腸とは
大腸とは小腸から先にある臓器で、右下腹部から始まり肛門まで続いています。右下腹部から右上腹部までを上行結腸、右上腹部から左上腹部までを横行結腸、左上腹部から左下腹部までを下行結腸、その先の肛門の手前までをS状結腸といいます。ここまでをまとめて「結腸」といい、その先から肛門までの部分を「直腸」といいます。
大腸とは小腸から先にある臓器で、右下腹部から始まり肛門まで続いています。右下腹部から右上腹部までを上行結腸、右上腹部から左上腹部までを横行結腸、左上腹部から左下腹部までを下行結腸、その先の肛門の手前までをS状結腸といいます。ここまでをまとめて「結腸」といい、その先から肛門までの部分を「直腸」といいます。
大腸がんとは、結腸または直腸の粘膜にできる腫瘍(細胞が異常増えて塊になったもの)が悪性化したもので、周囲の組織に浸潤(しんじゅん:拡がること)したり、大腸以外の臓器へ転移(別の場所にがん=悪性腫瘍ができること)したりするものです。大腸の粘膜には浸潤や転移の無い腫瘍ができることがありますが、これは良性の腫瘍であり、がんとは区別されます。ただし、良性の腫瘍(ポリープなど)でも、「がん化」する場合があります。
成人の大腸の長さはおよそ1.5~2mあり、がんの出来やすい場所と比較的出来にくい場所があります。日本人の場合、直腸がんとS状結腸がんが多く、この2つの部分で大腸がんのうちおよそ70%を占めています。
日本において、一年間に大腸がんと診断される人はおよそ15万人で、高齢化や食生活が欧米化により年々その数は増えています。全身のがんのうち、男性は第3位、女性は第2位であり、女性よりもやや男性が多くなっています。
大腸がんも初期であれば、自覚症状はほとんどありません。ある程度がんが大きくなってくると、便秘や下痢、下血、血便、腹痛が見られるほか、便が細くなったり、皮膚の上からも「しこり」に触れることがあります。さらに大きくなると、がんからの出血により貧血になったり、大きくなったがんによって腸閉塞(ちょうへいそく:便の通り道である腸がふさがれてしまうこと)の症状が見られたりします。
また、がんが出来た部位により、症状の現れ方も変わってきます。たとえば、大腸の前半部分である上行結腸や横行結腸にがんが出来た場合、しこり、腹痛、腸閉塞などの症状が見られることが多くなります。また、下行結腸から直腸までの辺りにがんが出来た場合、下血・血便・便秘・下痢が見られるほか、便が細くなることもあります。
大腸がんが出来る原因は、一つではありません。多くの場合、生活習慣との関わりがあるといわれています。たとえば食生活の欧米化として、魚介類よりも赤肉(牛肉・豚肉・羊肉など)や加工肉(ハム・ベーコン・ソーセージ)をよく食べる人は、大腸がんになるリスクが高くなります。生活習慣として飲酒や喫煙をする人も同様です。
また、体脂肪の多い人(特に腹部の肥満)や高身長などの身体的な特徴がある人も、大腸がんのリスクが高くなる傾向があります。
さらに、遺伝的な要素もあります。自身の両親や兄弟、親戚などの血縁関係がある人の中に大腸がんの人が居る場合は、大腸がんになるリスクが高くなります。また、「家族性大腸腺腫症」や「リンチ症候群」の人が血縁の中にいる場合も同様です。
そして、「潰瘍性大腸炎」や「クローン病」など大腸全体に炎症が広がるような病気の人は、その経過が長くなるほど、大腸がんになるリスクが高くなります。
血便・便秘・下痢などの症状が見られるような場合、直腸から指を入れて大腸の粘膜の状態を確認する「直腸診」を行い、さらに詳しく調べるために、以下にあげるような検査を行います。
肛門から空気と造影剤(バリウム)を注入し、腹部のレントゲン撮影を行う検査です。検査の前日から食事を検査用の食事に変え、下剤を服用します。さらに検査当日には、2リットル程度の大量の下剤(腸管洗浄液)を飲む必要があります。これは、検査前に大腸の中にある便を出して大腸内をきれいにしておくためです。
同様の検査に、CTコロノグラフィがあります。これは、肛門から空気を注入して腹部のCT撮影を行うことで、次の内視鏡検査と同じような画像を得るための検査です。
肛門から内視鏡を挿入し、直腸から上行結腸まで、大腸全体を詳しく調べる検査です。検査中にポリープなどの病変がある場合は、その一部を切除してくる「生検」を行い、病理検査によりさらに詳しく調べます。
また、近年では肛門から内視鏡を挿入するのではなく、カプセル型の内視鏡を「飲む」ことで大腸全体を詳しく調べる「カプセル内視鏡」もあります。
ただしいずれの場合も注腸造影検査と同様、前日からの「大腸の中をきれいにする」ための処置が必要となります。
これまでの検査で大腸がんと診断された場合、その大きさや広がりを調べるために行う検査です。
大腸がんの転移やそのほかのがんがあるかどうかを調べる検査です。
血液の中に、がん特有の物質があるかどうかを調べます。大腸がんがあると数値が高くなる物質もありますが、ほかのがんがある場合や、逆にがんが無い場合でも数値が高くなることもあります。一般的には、再発のチェックやお薬の効果を調べるために行います。
大腸がんの治療法はいくつかの選択肢がありますが、進行度によって変わります。
ごく早期(0期、Ⅰ期)ならば、大腸内視鏡検査とともに治療も可能です。
1期からⅢ期になると、大腸がんの部分を切除する、手術が適応となります。
さらに進行してⅣ期になると、薬物治療、放射線治療が適応となるほか、根治ではありませんが「辛い症状」を和らげる対症療法を行うこともあります。
大腸がんは早期に発見できれば、体への負担が比較的少ない治療を行うことができます。早期発見・早期治療のためにも、大腸内視鏡検査などを定期的に受けましょう。