一般診療WEB予約

りつの内視鏡クリニック

TEL予約 一般診療WEB予約 アクセス

りつの内視鏡クリニック

下血

BLOODY STOOL

下血とはABOUT BLOODY STOOL

下血とは、肛門から血液が出ることを言い、食道や胃、十二指腸などの上部消化管、小腸や大腸などの下部消化管から出血した場合にみられるものです。出血の状態にその特徴があるため、出血部位をある程度推測することができます。
下血には、大きく2つのパターンがあります。
1つは、赤色の血液(鮮血:せんけつ)が排出されるもので、この場合は直腸や結腸など肛門に近い部位からの出血や、痔からの出血があります。痔は静脈の血液が流れなくなって溜まってしまいこぶ状になったもので、排便時にこのこぶと便が擦れて出血するため鮮血が出血します。
もう1つは、コールタールのようにまっくろなもの(タール便、黒色便)です。タール便は主に食道から胃・十二指腸までの上部消化管からの出血が考えられます。

なお欧米においては、下血とはタール便のことを指しており、血便とは区別され用いられています。

下血の症状SYMPTOMS

広い意味での下血とは、血液排泄の総称と言えます。前述のように、赤い色味の便や血液排出の血便と、黒色便・タール便を指す狭い意味での下血があります。多量に出血した場合には、貧血によって息切れやふらつきなどの症状がみられます。
出血量が多いとショック症状を起こすことがあり、生命に危険を及ぼすこともあります。 また、時間をかけて長期間に渡って出血が続いていている場合にも、貧血やそれに伴うめまいやふらつきなどの症状がみられます。

血便

直腸や結腸など肛門に近い部位では、既に便は固形になっているため、出血があった場合には便の周囲に付着していたり、血液だけが排出されたりします。 血便の場合は目で確認できることが可能な出血です。血便は鮮血便と粘液便(粘液が混じった便)の2つに分けられます。

下血(黒色便、タール便)

もともと血液は赤い色をしていますが、消化液などの作用によって血液が変化し、それが泥状の便 と混じりあって排出されるため、色味が黒色になります。そのため、出血部位は消化液(胃酸など)が作用する胃や十二指腸など、上部消化管であることがわかります。小腸や小腸に近い部分の大腸からの出血の場合も、腸の中での通過時間が長いため、黒色や暗い赤色になります。

なお、便に混じった血液を調べる便潜血検査では、目で見て確認することができないくらいのわずかな血液でも検出することができます。主に下部消化管からの出血が考えられるため、大腸がんの検査として、健康診断などで広く利用されている検査です。

下血の原因CAUSE

下血がみられる病気には、次のようなものがあります。

上部消化管疾患

胃・十二指腸潰瘍、食道がん、胃がん、十二指腸がん など

下部消化管疾患

大腸がん、直腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病、虚血性大腸炎、小腸・大腸憩室炎、憩室出血 など

感染性腸炎
薬剤性腸炎
痔核など

いずれの場合も、消化管から出血しているということは、何らかの病気が原因です。見た目で気付くほどの出血があるならば、病気はだいぶ進行しているかもしれません。しかし、早期発見・早期治療ができれば、それ以上の進行を防ぐことができる病気もあります。下血があることに気付いたら、早めに医療機関を受診し、検査と治療を受けましょう。

下血の検査CHECKUP

下血がみられた場合、まずは血液検査やレントゲン検査など一般的な検査を行います。次にタール便なのか血便なのかなど下血の状態から出血部位を推測し、各種検査によって特定、止血を行うことになります。出血量やそのほかの症状によっては、必要に応じて点滴治療や輸血をおこなうこともあります。

上部消化管からの出血が考えられる場合は、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ検査)を行います。内視鏡検査が難しいケースでは、血管造影検査や血管シンチグラフィー、造影CT検査などから出血箇所を確認・特定します。
小腸からの出血が考えられる場合には、小腸内視鏡検査やカプセル内視鏡検査を行います。
下部消化管からの出血が考えられる場合、大腸内視鏡検査が有用です。しかし、出血量が多量の場合は検査前の処置が行えません。その場合は、輸血や点滴治療を行うことで出血を止め、状態が落ち着いてから下部消化管内視鏡(大腸カメラ検査)による出血箇所の特定を行います。

下血の治療方法MEDICAL TREATMENT

下血が見られる場合には、前述のような検査により出血箇所を確認・特定し、止血治療を行います。
内視鏡を用いて出血箇所の特定ができた場合は、内視鏡下で止血操作を行います。

血箇所に対しては

  • クリップを使用した圧迫止血法
  • レーザーなどによる凝固止血
  • 薬剤の注入
  • ゴムバンドでの静脈結紮法

などを行います。

また、これらのいくつかの方法を組み合わせて行うこともあります。
血管造影検査や出血シンチグラフィーなどを行った場合は、出血部位に薬剤を注入し止血を行います。
血管造影を行うことも困難なケースでは、手術を行うこともあります。
下部消化管からの出血で大腸内視鏡検査ができないケースでは、保存療法を選択することになります。禁食と安静を中心にした治療で、状態が安定したのちに改めて大腸内視鏡検査を行うことになります。
また、原因となっている病気や病状に応じて、薬剤による治療を行います。