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食道がん

ESOPHAGEAL CANCER

食道がんについてABOUT ESOPHAGEAL CANCER

食道とは

食道は咽頭(のど)と胃の間をつなぐ長さ約25cmほどの管状の臓器で、気管や心臓、大動脈、肺などの臓器に囲まれた背骨の前側の体の中心部にあり、場所によって口側から頸部食道、胸部食道、腹部食道と呼ばれています。
食道の壁の内側は粘膜でできていて、細かく分けると内側から外側に向かって、粘膜上皮、粘膜固有筋層、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、外膜という層構造になっています。食道は胃に食物を送る働きを担っており、食道壁を順に動かして(ぜん動運動)食物を運びます。食道には消化機能はありませんが、胃の中の内容物が食道に逆流しないような機構があります。

食道がんとは

食道がんは食道壁内側を覆う粘膜から発生するがんで、同時にいくつも発生することもあります。壁の外側(深い層)に向かって広がっていきます。周辺の組織にまで広がっていくことを「浸潤」、血管やリンパ管にがんが入りこみ、血液やリンパ液の流れに乗って他の臓器にまで広がることを「転移」と言います。がんが粘膜でとどまっているものを「早期がん」、粘膜下層までのものを「表在がん」 、粘膜下層よりも深い層にひろがっているものを「進行がん」と呼んでいます。
日本おいての食道がんと診断される患者さんの数は、男性がゆるやかな増加傾向、女性は横ばいです。男性が女性の約5倍、年齢では60~70歳代に多く全年代の約69%となっています。一番多く発生する場所は食道中央辺りで、次いで食道下部が多くなっています。組織の型としては「扁平上皮がん」がほどんどを占め、 咽頭がんや喉頭がん、舌がんなどの「頭頸部がん」と呼ばれるがんと重複しやすいことが分かっています。 

食道がんの症状SYMPTOMS

食道がんの症状は病気の進行度合いによって異なります。初期には自覚症状が無いことが多いとされていますが、比較的浅い層のがん「表在がん」であっても、6割のケースで、軽かったり一時的に現れたり消えたりするような何らかの食道に関連した症状があります。初期症状として、軽いつかえ感、飲食物を飲み込んだ際にしみる、食道に何かあるような感じなど胸の違和感が挙げられ、これらは早期発見のためにも重要な症状です。
がんが進行してくると、食道の内腔が狭まることから固形物がつかるようになったり、飲食の際に胸や背中の痛みを感じたりすることもあります。
さらに進行すると、つかえる回数が増え、柔らかい物や流動物さえも通りが悪くなり、最後には水や唾液も通らなくなり、嘔吐するようになります。飲食物のつかえの回数が多くなると食事量が減るため、体重が減ります。
その他、声帯を調節する神経にがんが及ぶことで声がかすれたり、背骨や肺、大動脈にがんが広がることで胸の奥や背中が痛んだり、気管や気管支にがんが及ぶことで咳が出たり、がんがリンパ節に転移することで頸部リンパ節が腫れたりといった症状が現れることがあります。

食道がんの原因CAUSE

日本に多い「扁平上皮がん」の発生要因は、飲酒と喫煙といわれ、両方の習慣がある人は発生リスクが増加することも分かっています。また遺伝的にお酒を飲んで顔が赤くなりやすい人(フラッシング)は、そうでない人に比べて飲酒によるがん発生リスクが5~10倍高くなるといわれています。
日本ではまた、発生数が少ない「食道腺がん」の発生動向に注目しています。現在日本での発生率は数%とされていますが、欧米では食道腺がんの発生が増加傾向にあります。胃食道逆流症による長期間に及ぶ食道の炎症によって、食道の粘膜組織が胃のような粘膜組織に置き換わってしまう「バレット上皮」が発生源となることから、胃食道逆流症の原因として肥満や喫煙が食道腺がんの発生に関係していると考えられています。
その他、栄養状態の低下やビタミン欠乏が危険因子と考えられています。

食道がんの検査CHECKUP

食道がんが疑われる場合に行う検査には、食道がんかどうかを調べる検査と、がんが確定した後に行う進行度を調べる検査があります。こちらの検査は治療方針決定に役立てられます。

食道がんかどうかを調べる検査

いぼ痔の進行度は、患者さんの症状により4段階に分けられています。
  • 内視鏡を用いて食道粘膜の状態を直接観察することができ、粘膜の凹凸や色調など小さな変化を確認することができるため、早期発見には必須
  • 疑わしい組織は一部を採取し(生検)、顕微鏡で詳しく調べる(病理検査)
  • がんが確定した場合には、必要に応じ特殊な色素や波長の光を使用して、がんの位置や広がり、数、深さを確認する
上部消化管造影検査(バリウム食道透視検査)
  • 食道の内側(内腔)の広さなど全体像を把握できる、がんの場所や大きさを確認することもできる

食道がんの進行度を調べる検査

CT検査、MRI検査、PET検査
  • がんの深さ、肺、肝臓、骨、リンパ節などへの転移を調べる
  • CTはX線、MRIは磁気を利用して体の断面を撮影する
  • PETは放射性フッ素を付加したブドウ糖を注射し、がん細胞に取りこまれたブドウ糖の分布を画像にして、がんの広がりや・転移を調べる
血液検査(腫瘍マーカー)
  • 血液中にがんが分泌する特定の物質がないかどうかを調べ、がんの状態の変化を把握するために使われるが、早期診断での有用性は確立されていない
超音波検査
  • 体表から頸部と腹部を調べる、リンパ節の腫れや遠隔転移を確認する
超音波内視鏡検査
  • 内視鏡の先端に超音波装置がついていて、食道壁や壁外などを観察することができる
  • 層構造の乱れなどからがんの深さや広がり、浸潤や転移などの情報を得ることができる

食道がんの治療方法MEDICAL TREATMENT

食道がんの主な治療方法は、内視鏡的切除(ESD、EMR)、手術、放射線治療、薬物療法(化学療法)で、これらを単独または組み合わせて「集学的治療」が行われます。どの治療を行うかは、がんの進行度や体の状態、患者さんの治療に対しての考えなどを考慮して決まります。
まお、がんの進行度は病期(ステージ)で分類され、早期から進行に向かって、0期~Ⅳa、Ⅳb期までの5つで、それぞれのステージは、「T」がんの深さ、「N」リンパ節転移の程度、「M」遠隔転移の有無の3つの要素の組み合わせによって決まります。例えば、がんが粘膜下層にとどまるものはT 因子では「T1b」、第2軍リンパ節まで転移があるものをN因子では「N2」、遠隔転移がないものをM因子では「M0」としていて、これらを分類に当てはめると「ステージⅡ(2期)」となります。
それぞれの治療法は次のとおりです。

内視鏡治療

内視鏡を用いて食道の内側から治療する方法
粘膜にとどまりリンパ節転移のないステージ0(0期)の食道がんに対する治療法

内視鏡的切除法

がんを切り取る方法、治療後は切除した組織を顕微鏡で詳しく調べる

  • ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術):高周波ナイフでがんを切り取る、近年普及している
  • EMR(内視鏡的粘膜切除術):がんに輪状のワイヤーを掛けて切り取る
内視鏡的焼灼術

がんを焼く方法、上記の切除法が困難な例などに適応となる
がんを焼灼してしまうため治療後にがん組織を調べることができない

  • PDT(光線力学的治療):光を用いる
  • APC(アルゴンプラズマガス凝固法):特殊なガスを用いる

手術

食道がんにおける標準的な治療方法、胸腔鏡下や腹腔鏡下でなども可能で以前よりも患者さんの身体への負担は少なくなっている
がんが発生している食道、胃の一部、転移が考えられるリンパ節を含む周囲の組織を取り除く
食道の代わりとなる食物の通り道を胃や腸でつくる
手術方法はがんが発生する部位(頸部・胸部・腹部)によって異なる

放射線治療

高エネルギーのX線をがんに直接照射し、がんを小さくする
化学療法と同時に行うと効果が高い

根治照射

がんを治すことを目的にした放射線治療

緩和照射

がんによる痛みや周辺臓器への圧迫や食道狭窄などを抑えることを目的にした放射線治療

薬物治療(化学療法)

がんを治すことを目的にした放射線治療

根治的化学放射線療法:ステージⅠ~Ⅲ、Ⅳの一部(Ⅰ期~Ⅲ期、Ⅳ期の一部)が対象

根治を目的とする治療方法
手術の代替治療として行われる

術前化学療法:ステージⅡ~Ⅲ(Ⅱ期~Ⅲ期)対象

手術可能な患者さんに対して手術を成功させるために行う

術後補助化学療法:ステージⅡ~Ⅲ(Ⅱ期~Ⅲ期)対象

手術後の再発を予防する目的で行う

化学療法:ステージⅣ(Ⅳ期)が対象

※化学療法では使用する薬剤によってさまざまな副作用が現れます。

その他、患者さん本人にしかわからない辛さに対して、緩和ケアや支持療法、身体機能の低下に対するリハビリテーションなどがあります。

緩和ケア

がんと診断された時から必要に応じて、体や心のさまざまな苦痛に対する症状を和らげ、患者さんその人らしく過ごせるように、生活の質(QOL)を維持するために行われる

緩和ケア

がんそのものによる症状、治療に伴う副作用、合併症、後遺症などによる症状を軽くするために行われる予防や治療、ケア