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過敏性腸症候群(IBS)

IBS

過敏性腸症候群(IBS)とはABOUT IRRITABLE BOWEL SYNDROME

過敏性腸症候群とは、大腸に炎症や腫瘍などの病気がないにもかかわらず、数カ月以上にわたりお腹の調子が悪い、痛みがある、張りがあるなどの違和感や、下痢や便秘などの便通の異常が続いている状態のことをいいます。英語表記のirritable bowel syndromeの頭文字をとって「IBS」とも呼ばれます。

過敏性腸症候群(IBS)は、便通異常のタイプから次のように分けられます。

  • 便秘症状が主となる「便秘型」
  • 下痢症状が主となる「下痢型」
  • 便秘と下痢を繰り返し便通が変動する「混合型」
  • 便秘と下痢を繰り返し便通が変動する「混合型」

これらは、評価スケール「ブリストル便形状尺度」を用いて判断します。
患者さんは20~30代に多く、年齢とともに減っていきます。患者さんの数は多い方から順に、「混合型」「便秘型」「下痢型」で、「便秘型」は女性、「下痢型」は男性に多いとされています。このうち「便秘型」の約1/3、「下痢型」の約半数が医療機関を受診しています。また、過敏性腸症候群の予備軍ともいわれる「下腹部痛」は6人に1人とされています。

過敏性腸症候群(IBS)の症状SYMPTOMS

過敏性腸症候群(IBS)では国際的に用いられている診断基準がありますから、これに則りこの病気の可能性を探ることになります。

ローマⅢ基準

直近の3か月間で、月に3日以上にわたるお腹の痛みや不快感が繰り返し起こっていて、次の特徴のうち2項目以上に該当している

  • 排便によって症状がやわらぐ
  • 症状とともに排便の回数が増えたり減ったりする
  • 症状とともに便の形状が変わり、柔らかくなったり硬くなったりする

過敏性腸症候群(IBS)は生命に関わる病気ではありませんが、便秘や下痢、腹痛といった症状のほか、それらの症状がいつ現れるのではないかという不安などのため、通勤・通学電車に乗れないなど、日常生活に大きな支障を来すことも多いのです。

過敏性腸症候群(IBS)の原因CAUSE

過敏性腸症候群(IBS)の原因ははっきりとはわかっていません。ただし、いくつかのことがらが関係していると考えられています。
ひとつはストレスです。精神的な緊張や不安状態によって、腸の収縮運動が障害され下痢や便秘を起こすということです。もうひとつは、腸が知覚過敏状態になることで痛みを感じやすくなるということです。過敏性腸症候群(IBS)の患者さんは、弱い刺激でも健康な人より痛みを感じやすく腹痛が起こりやすい状態にあることが分かっています。
また、感染性の腸炎など腸に炎症が起こると、腸の粘膜が弱くなったり腸内細菌が変化したりすることがあり、そのことが腸の運動や知覚機能を敏感させることで、便通の異常を引き起こします。ですから過敏性腸症候群(IBS)は感染性腸炎からの回復後に発症しやすいとされています。
他にも、食物アレルギーが原因となっているとする考えや、高脂肪食、乳製品、豆やトウモロコシなどの消化に負担がかかるような食物も過敏性腸症候群(IBS)を引き金になっている可能性があると考えられています。

過敏性腸症候群(IBS)の検査CHECKUP

自覚症状を確認の上、一般的な検査として血液検査、尿検査、便検査などを行います。
次に痛みや不快感、便通異常が過敏性腸症候群(IBS)以外の病気から起こるものではないかを詳しく調べるための検査を行います。

  • 一般的な検査の結果から貧血や炎症を示す場合
  • 発熱や血便、体重減少などの症状があり大腸がんや炎症性腸疾患などが疑われる場合
  • 患者さんの年齢が50歳以上の場合
  • 患者さんや家族の腸疾患の病歴がある場合

これらに該当する場合は、大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)や大腸造影検査を行います。
症状によっては腹部CT検査や腹部超音波検査など、心理的な要因が強いと考えられる場合には心理検査を行うことがあります。

過敏性腸症候群(IBS)の治療方法MEDICAL TREATMENT

過敏性腸症候群(IBS)の回復のためにまず必要なことは、次のような生活習慣の改善です。

  • 生活面では、ストレスを溜めない、十分な睡眠・休養
  • 食事面では、規則正しい栄養バランスの良い食事をとる
  • 暴飲暴食、夜間大食、刺激物、高脂肪食、アルコールを控える

生活習慣の改善によって症状がよくならない場合、薬物療法を行います。お薬は、病型によって異なります。

共通のもの

消化管運動改善薬(腸の運動を整える)
プロバイオティクス製剤(体に良い影響を与える微生物(菌)を含むお薬)
高分子重合体(便の水分バランスを整えるお薬)

便秘型

粘膜上皮機能変容薬(便を柔らかくするお薬)

下痢型

セロトニン3受容拮抗薬(5-HT3拮抗薬)・・・腸の運動異常を改善させるお薬

上記の薬物療法でよくならない場合には、第二段階への治療へと進みます。第二段階では、さらに強い薬剤や漢方薬などが用いられます。原因が食物アレルギーであると考えられる場合には、抗アレルギー薬やアレルギー除去食も効果的です。また、うつ症状が強い場合には抗うつ薬、不安が強い場合は抗不安薬を用いることもあります。状況によって第一段階のお薬を組合せることもあり、通常4~8週継続して行います。
薬物療法以外にも有効とされる治療法として、腹痛や便通を引き起こしやすい食物を控える食事療法、適度な運動を継続的に行う運動療法、ストレスマネジメントやリラクセーションなどの心理療法があります。特に心理療法は薬物療法で効果が出にくいケースで効果的なこともあり、心理的要因が大きいと考えられる場合には薬物療法と組み合わせて行うこともあります。