慢性的な便秘は大きく、器質性便秘と機能性便秘に分かれます。
便秘とは、簡単にいえば「本来は体の外に出すべき便を、十分にかつ快適に出せない状態」をいいます。
排便のサイクルは個人差がありますので、1日3回出る人から3日に1回出る人もいます。必ずしも毎日1回ではなく、その人のペースで快適に排便できていれば問題ありません。しかし中には、詳しい検査や治療が必要となる便秘があります。
また、便秘は腹痛や排便時の肛門の痛みなどを伴いますが、日常生活で特に問題がなければ、そのままにしてしまいがちです。しかし中には、注意すべき便秘があります。
慢性的な便秘は大きく、器質性便秘と機能性便秘に分かれます。
これはさらに狭窄性と非狭窄性に分かれます。また、「非狭窄性」はさらに「排便回数が減少したタイプ」と「排便が困難になったタイプ」とに分けられます。
●大腸がんなどが原因で大腸から直腸までが狭くなってしまい、排便が十分にできない
●がんがあっても大腸から直腸までが狭くなってはいないが
▼排便の回数が減ってしまう
▼便は作られるが排便しにくくなっている
これはさらに、排便回数減少型、排便困難型に分かれますが、その原因はさまざまです。
●排便回数減少型:何らかの原因により排便の回数が減ってしまう
▼便が大腸を通過する時間が通常よりも長くなる
●排便困難型何らかの原因により排便がしにくくなってしまう
▼排便に至るための機能に問題が起きてしまう
また、排便回数減少型と排便困難型の両方に通じるタイプとして、「便が大腸を通過する時間は正常だけれども、水分不足などにより便が硬くなりすぎてしまって排便が十分にできない」というタイプもあります。
機能性便秘の原因となるものには
などが考えられています。
このほかにも、慢性の便秘になりやすい「リスク」も分かっています。
60歳代くらいまでに便秘になる人は、女性の方が男性よりも多い傾向があります。しかし70歳を超えると慢性便秘の男性は増え、男女の性差が無くなる傾向にあります。
朝食を食べない人、女性の中でダイエット経験のある人、昼食をあまり食べない人も便秘のリスクが高くなります。また、一口での咀嚼回数が少ない人、1日あたりの水分摂取量が少ない人、活発な運動習慣が無い人も、便秘になりやすい傾向があります。
便秘になりやすい病気も分かっています。
さらに、服用するお薬の影響でも便秘になることがあります。
慢性の便秘が疑われる場合には、次のような検査等を行います。
まずは、次のようなことを確認します。
これらの検査では主に、大腸の中にどれだけの便が残っているか(便秘の進行具合)、大腸の中で腸閉塞(イレウス)など狭くなっている部分が無いかなどが確認できます。
これらの検査はいずれも、前処置が必要となるため、前日に下剤を服用していただき、腸の中をキレイにした状態で行います。
便秘の原因として、大腸内にがんなどの病気が無いかが確認できます。
まずは規則正しい生活と適度な運動を心がけ、便意を我慢せず、生活リズムの中で排便の習慣を整えていきます。食事に関しては、1日3食を規則正しく食べるようにします。特に朝食は、生活リズムを整えて胃腸を刺激し、生活リズムの中での排便を促すことができます。水分も十分にとると、便が柔らかくなるため排便しやすくなります。
また、便秘の予防には食物繊維をとることも必要です。ただし、便秘のタイプによっては食物繊維の摂りすぎは逆効果となることもあります。
便秘の原因として何らかの病気がある場合は、その病気の治療を行うことで便秘は改善します。
まずは医師の診察を受け、自分の便秘のタイプを知ることと、何らかの病気が隠れていないかを明確にすることも必要です。便秘のタイプや原因が分かれば、適切なお薬による治療を行うこともあります。