大腸カメラの受け方を内視鏡専門医の私が解説します
内視鏡専門医として、そして内視鏡歴20年、毎日真剣に検査と向き合ってきた立場から、どちらの方法が本当に患者さんのためになるのかを、私自身の経験と言葉でお伝えします。
1.鎮静あり(眠っている間に終わる検査)
鎮静薬を点滴で投与し、眠っている状態で大腸カメラを受ける方法です。呼びかけに反応できる程度の浅い眠りですが、痛みや不快感はほとんどありません。
起きたときにはすでに検査が終わっており、「本当にやったんですか?」という患者さんが非常に多い方法です。
鎮静の程度は希望に応じて調整できます。
「軽めがいい」「がっつり眠りたい」「お任せで」すべて対応できます。
- 痛みや不快感がほぼゼロ
- 緊張がとれ、腸の動きが静まり観察精度が上がる
- 医師が集中しやすく、病変の発見率が向上
- 「気づいたら終わっていた」という快適な体験
2.鎮静なし(覚醒のまま受ける検査) ― 正直おすすめしません
かつては一般的でしたが、近年は負担が大きく検査の質も落ちるため、積極的に選ばれることは少なくなりました。
スコープが腸のカーブを曲がる際の張り感や、腸が引っ張られる感覚をそのまま感じるため痛みが出やすいのが特徴です。
また、緊張により腸の蠕動が強まり、観察しづらくなることもあります。海外では「痛み=悪」という文化が強く、痛みを伴う検査は質が落ちると考えられ、鎮静なしはほとんど選ばれません。
- 張り感・違和感・痛みが出やすい
- 緊張により腸が動き、観察の質が下がる
- 痛みで途中中断になるリスク
- 医師が慎重に観察できず、病変の見逃しが増える
- 腸が長い人・癒着のある人は特に苦痛が大きい
正直に言えば、「どうしても鎮静薬が使えない場合のみ検討する選択肢」という位置づけです。
3. 医師として見たときの“検査精度”の違い
結論として、検査の精度は鎮静ありの方が明らかに高くなります。
- リラックス → 腸の動きが抑えられる
- 痛みの訴えがない → 丁寧な観察ができる
- スコープ操作がスムーズ
- 結果として「見逃し」が減る
「眠っている間に」「安全に」「精度高く」検査できるのが鎮静ありの最大の強みです。
4. 結局どちらを選べばいい? 私の結論
● 鎮静ありが向いている方(ほとんどの方)
- 痛みに弱い
- 大腸カメラが初めて
- 過去に痛みが強かった
- 精密に観察してほしい
- とにかく楽に受けたい
● 鎮静なしが向いている方(限定的)
- 車の運転が必要
- 検査後すぐに仕事復帰したい
- 薬を使いたくない強い希望がある
医師として、そして20年、毎日内視鏡と向き合ってきた答えは、患者さんの負担が少なく、質の高い検査ができる「鎮静あり」を強く推奨します。
5. 当院での取り組み
- 当院では、鎮静下での大腸内視鏡検査を標準としていますが、鎮静なしでの検査にも対応しています。
- 鎮静薬は安全性の高い短時間作用型
- 鎮静量は「軽め・しっかり・お任せ」すべて選択可能
- 全例を内視鏡専門医が担当
- 軸保持短縮法で痛みを最小限に抑えた挿入
- 専用の回復室でしっかり覚醒を確認してから帰宅
6. まとめ
大腸内視鏡検査は、昔のように「痛い」「つらい」検査ではありません。鎮静剤を使えば、眠っている間に終わり、痛みもほとんどありません。鎮静なしでも可能ですが、痛み・緊張・腸の動きにより、検査の質が落ちる可能性が高く、私は基本的におすすめしません。
早期のポリープを見つけて切除すれば、がんを未然に防げます。怖さで先延ばしせず、ぜひ一度“眠って終わる大腸カメラ”を体験してみてください。
