大腸がんを予防、治療するために、全国の消化器内科医が皆さまをお待ちしています。
健康診断や人間ドックでよく聞かれる質問があります。
「便潜血が陰性なら大腸カメラは必要ないですか?」
「最初から内視鏡を受けた方がいいですか?」
このテーマは長く議論されてきました。
一見すると「内視鏡 vs 便潜血」という対決のように見えます。
しかし実は、この2つはどちらが優れているかという話ではありません。
役割が違う検査なのです。
便潜血検査の役割は
大腸がんの可能性がある人を広く見つけることです。
つまり
スクリーニング(ふるい分け)の検査です。
この検査の特徴は次のとおりです。
・自宅でできる
・身体への負担がほとんどない
・費用が比較的安い
・多くの人に実施できる
40歳以上の大腸がん検診の基本として広く行われています。
ただし、便潜血検査には限界もあります。
ポリープでは陰性になることがあり、出血していないがんは見つからないこともあります。
つまり、ポリープを見つける検査ではないという点が重要です。
一方、大腸内視鏡の役割は診断+治療の検査です。
・小さなポリープも発見できる
・がんでもその場で切除できる
・がんになる前に予防できる
つまり、内視鏡は大腸がんを見つけるだけでなく、予防できる検査です。
ここで少しややこしいポイントがあります。
それは、内視鏡は一部「スクリーニング」の役割も持っているという点です。
一般的には、
・便潜血 → 広く探す検査(レーダー)
・内視鏡 → 詳しく調べて治療する検査
と説明されることが多いですが、実際には内視鏡でもポリープやがんを直接見つけることができます。
つまり内視鏡は、
・精密検査
・治療
・そして一部スクリーニング
という複数の役割を持っています。
この役割の重なりがあるため、
「便潜血でいいのか」
「最初から内視鏡がいいのか」
という議論が生まれ、「内視鏡 vs 便潜血」という構図になりやすいのです。
このテーマを考えるうえで、もう一つ大切な視点があります。それは、大腸内視鏡には実施できる件数に限界があるということです。
数年前まで、日本で実施できる大腸内視鏡は年間200万件前後と言われていました。
現在は施設数の増加や体制整備により、300万件前後まで稼働できている可能性を期待しています。
しかし、ここで日本の人口を考えてみます。
日本の総人口は約 1億2300万人。
そのうち 40歳以上の人口は約7000万人 と推定されています。
もし仮に、40歳以上の方全員に内視鏡検査を行おうとすると
現在の内視鏡件数ではまったく足りません。
例えば
40歳以上の方が10年に1回内視鏡を受けるだけでも
年間700万件以上の検査が必要になります。
つまり現実的には
すべての人に最初から内視鏡を行うことは不可能なのです。
だからこそ、まずは便潜血検査で広く拾い上げ、必要な方に内視鏡を提供するという考え方が重要になります。
ここで重要になるのが、便潜血+内視鏡という組み合わせです。
まず、便潜血で広くスクリーニングを行う。
そのうえで、陽性の方やリスクの高い方に内視鏡を行う。この流れによって、限られた内視鏡のリソースを本当に必要な人に届けることができます。
これは医療の効率という意味でも、大腸がん対策という意味でも非常に重要です。
一般的には、次の流れが基本になります。
ただし、次のような方は最初から内視鏡を検討した方がよい場合があります。
・家族に大腸がんの方がいる
・以前に大腸ポリープを切除したことがある
・血便、便通異常、腹痛などの症状がある
大腸がんの多くは、ポリープ → がんという流れで進行します。
つまり、ポリープの段階で切除できれば、がんを予防できるということです。
これは大腸がんの大きな特徴であり、内視鏡検査が重要視される理由でもあります。
「内視鏡 vs 便潜血」というテーマはよく語られますが、実際には対立する検査ではありません。どちらも大腸がんを防ぐための重要な検査です。
そして内視鏡は一部スクリーニングの役割も持つため、この2つが比較されることが多いのです。
さらに、内視鏡には件数の限界があるからこそ、便潜血+内視鏡という組み合わせが重要になります。
大切なのは、どちらが正しいかではなく、その人に合った方法で大腸がんを早く見つけ、予防につなげることです。
大腸がんを予防、治療するために、全国の消化器内科医が皆さまをお待ちしています。
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