健診における医療機関への受託料は、健診会社や契約コースによって差はありますが、例えば
とされることが多く、一般的には確かに胃カメラのほうがやや高いものの、その評価差はおよそ1,000〜3,000円程度にとどまります。
※これは医療機関に支払われる受託料の目安であり、患者さんの自己負担額とは異なります。
検査にかかる人手や時間、精度の違いを考えたとき、この差を私たちはどう受け止めるべきでしょうか。
命に直結する可能性のある検査の価値は、本当にこの差だけなのでしょうか。
以前はこう言われていました。
「胃カメラは苦しい」
「だからバリウムの方が楽」
確かに昔の内視鏡はつらい検査でした。
しかし現在は、
鎮静剤の使用
により、多くの方が眠っている間に検査を終えます。
医療は進化しています。時代も昭和から今は令和の時代になりました。
バリウムは白黒のレントゲン画像による間接評価です。
現在の胃カメラは
白黒写真と4K映像。
技術の世代が違います。
内視鏡検診が胃がん死亡率を低下させる可能性については、複数の大規模研究が報告されています。
Hamashima C, et al.
“Endoscopic screening for gastric cancer in Japan: a prospective cohort study.”
Gastroenterology. 2013.
Jun JK, et al.
“Effectiveness of the Korean National Cancer Screening Program in reducing gastric cancer mortality.”
Gastroenterology. 2017.
Choi IJ, et al.
“Gastric cancer screening and surveillance in high-risk populations.”
Gut and Liver. 2018.
いずれも無作為化比較試験ではありませんが、内視鏡検診を受けた群で胃がん死亡率の低下が報告されています。
バリウム検査は主に放射線技師が担当し、短時間で多くの方を検査できます。
一方、胃カメラは
多くの人手と準備が必要です。
回転率も、どれだけ努力してもバリウムの約半分。
それでも制度上の評価差は、わずか1,000〜3,000円程度。
精度が高く、苦痛も軽減された内視鏡検査。
それでも一般的な健診センターで十分に普及していない背景には、
といった現実的な制約があります。
そして、医療機関への評価が現在の水準にとどまっていることも、十分な人員確保や設備投資を難しくしている一因かもしれません。
命を守るために必要な体制を整えるには、それ相応の評価が必要です。
この前提のままでは、「効率の良い検査」が選ばれやすい構造が続きます。
これは誰かを責める話ではありません。
制度設計の問題です。
現在、胃がんの最大の原因はピロリ菌感染であることが分かっています。
かつては原因がはっきりせず、「とにかく全員をバリウムで検査する」という時代がありました。
しかし今は、
という時代です。
ピロリ菌を除菌することで、胃がんの発生リスクは大きく低下します。
命に直結する可能性のある検査を、私たちは「効率」で評価していないでしょうか。
私たちは、効率ではなく「命を守る確率」を基準に検査をご提案しています。
そして、命を守る医療が正当に評価される社会であってほしいと願っています。
時代は変わりました。
検診も、アップデートしませんか。